東京高等裁判所 昭和62年(ラ)572号 決定
本件会員権(法人正会員権)は、いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権であり、抗告人所有のゴルフ場施設の優先的利用権及び預託金返還請求権を主たる内容とする包括的な債権的法律関係であって、預託金は金額各一三〇〇万円、無利息で債務者の入会時(昭和五九年四月三〇日)から一〇年経過後、退会したときに返還する約定であったことが認められる。
以上の事実によれば、本件会員権は譲渡可能な財産権と認められ、民事執行法一六七条一項にいう「その他の財産権」にあたり同法一四五条の差押命令の対象となるけれども、それは包括的な債権的法律関係であって単純な金銭債権ではないから、債務者につきゴルフクラブ退会の効力が生じて預託金返還請求権のみが金銭債権として残存する場合を除いて、金銭債権が差し押さえられた場合の執行供託に関する同法一五六条の規定の適用はないといわなければならない。
これを本件についてみると、記録によるも債務者につきゴルフクラブ退会の効力が生じたことを認めるに足る資料は存しないから、抗告人が本件会員権の第三債務者として預託金相当額のみを執行供託したとしても有効な供託とはいえず、執行裁判所が本件会員権の換価手続が終了したとして配当等を実施することはできない。
そして、本件会員権は、単純な金銭債権でなくその取立も困難であるから、取立・転付には適さないけれども、譲渡性が認められるので、その換価方法として取立てに代えて同法一六一条一項の売却命令を発することができるというべきである。
(舘 牧山 小野)